LTV(エル・ティー・ヴィ―)とは「Life Time Value(ライフ・タイム・バリュー)」の略で、顧客生涯価値と訳されます。
分かりやすく言えば、「一人の顧客から生涯にわたって得られる売上(利益)の平均値」がLTVです。
ビジネスを右肩上がりに成長させていくということは、LTVを高めていくと言い換えられます。
どんな業界・業種であろうとLTVの把握はとても大切。
なので、もし自分のビジネスのLTVを計算したことがないのであれば、これからお伝えする方法を元に算出してみて下さい。
LTVとは
改めてお伝えすると、LTVとは顧客生涯価値のことです。
LTVの定義は人や会社によって違ったりするのですが、「一人のお客様から生涯にわたって、どれくらいの売上(もしくは利益)が発生するのかの目安」と考えてもらって問題ないです。
生涯というと大げさなんですけど、要はお客様一人あたりの売上の平均です。
たとえば総売上が1000万円で顧客が100人いたら、LTVは単純に1000万÷100人で10万円です。お客様一人あたり、10万円あなたに支払ってくれている、ということですね。
ただこのLTVは、“どんな数字を求めたいか”によって計算方法が変わってきます。
なのでこの記事では、いくつかのパターンの計算方法を紹介しています。あなたの状況にあった計算方法を使ってみて下さい。
顧客一人当たりのLTVを求める場合
あなたの商品をすでに買ってくれている“顧客”一人あたりのLTVを求める場合の計算方法は以下の通り。
LTV(売上)を求める場合
LTV(売上) = 総売上 ÷ 顧客数
LTV(利益)を求める場合
LTV(利益) =(総売上 ー コスト) ÷ 顧客数
もしくはシンプルに
LTV(利益) = 総利益 ÷ 顧客数
ちなみにここでいうコストとは、商品を販売するために必要な経費のことですね。
- 人件費
- 広告費
- 販促費
- 実店舗であれば家賃や光熱費なども
見込み客一人あたりのLTVを求める場合
あなたが抱えている見込み客一人あたりのLTVを求める場合の計算方法は以下の通り。
単品商品一つあたりのLTVを求める場合
LTV(売上) = 見込み客の数 × 商品価格 × 商品の成約率
LTV(利益) = 見込み客の数 × 商品価格 × 商品利益率 × 商品の成約率
もしくは
LTV(売上) = 単品商品の総売上 ÷ 見込み客数
LTV(利益) = 単品商品の総利益 ÷ 見込み客数
継続商品一つあたりのLTVを求める場合
LTV(売上) = 見込み客の数 × 商品価格 × 商品の成約率 × 商品の平均継続回数
LTV(売上) = 見込み客の数 × 商品価格 × 商品の成約率 × 商品の平均継続回数
もしくは
LTV(売上) = 継続商品の総売上 ÷ 見込み客数
LTV(利益) = 継続商品の総利益 ÷ 見込み客数
商品が複数ある場合のLTVを求める計算式
LTV(売上) = 全商品の総売上 ÷ 見込み客数
LTV(利益) = 全商品の総利益 ÷ 見込み客数
以上、LTVの計算式についてお伝えしました。
これらの式を使えば、たいていどんな業界・業種だろうと、LTVを計算することは出来るはずです。
LTVの活用方法
LTVはどのように活用できるのか?それは以下の2つ。
- かけられる広告費を算出する
- 売上に貢献しない商品を改善する
かけられる広告費を算出する
たとえば、見込み客一人あたりのLTVが3,000円だった場合、3,000円まで広告費をかけても赤字にならない、というシミュレーションを立てることが出来ます。
広告費をいくらまで使えるのか?その目安になるので、広告で赤字になるリスクを減らせます。
売上に貢献しない商品を改善する
たとえば複数商品を持っている場合、各商品ごとのLTVを出せば、どれがLTVが高くて、どれが低いかが分かります。
例えば…
- 商品AのLTV(見込み客1人当たりの売上) … 25,000円(価格50,000円)
- 商品BのLTV(見込み客1人当たりの売上) … 10,000円(価格30,000円)
- 商品CのLTV(見込み客1人当たりの売上) … 1,000円(価格50,000円)
この例だと、販売価格に比べて商品CのLTVが低いです。
LTVが低いということは、価格もしくは購入率が低いと考えられます。
つまり「価格を上げる」もしくは「商品の内容を改善して購入率を上げる」ことで、LTVが上がって全体の売上アップにつながる可能性がある、ということですね。
LTVを向上させて最大化させる6つの方法
冒頭でもお伝えしたように、ビジネスを拡大させるということは、LTVを高めていくということです。
ということでこの章では、LTVを高める6つの方法についてお伝えします。
- 成約率(購入率)を高める
- 商品価格を上げる
- 商品数を増やす
- 1商品あたりの販売回数を増やす
- 継続(リピート)率を上げる/解約率・離脱率を下げる
- コストを下げる
成約率(購入率)を高める
各商品の成約率(相手が買ってくれる確率)を高めることでもLTVを高められます。
例えば、以下の方法で成約率は高められます。
- 売り方を改善する(セールストーク、セールレター、LP、メルマガetc…)
- 販売回数を増やす(1度だけでなく、2度3度…と何度も販売する)
- 見込み客を教育する(なぜその商品が必要なのか、どうしたら悩みを解決できるのかなどを、メルマガやサイトなどで伝えていく)
- 期間を定める(期間限定にすることで簡単に成約率は上がります)
- 見込み客や顧客と信頼関係を築いていく(ファンを作る)
商品価格を上げる
商品価格を上げることで、LTVが上がります。
ただし商品価格を上げすぎると購入率が下がって、トータルでLTVが下がる可能性もあるんですよね。
なので適正価格を見極めることが重要。出来ればABテストをしたいところです。
たとえば可能であれば、価格を複数パターン用意してテスト販売してみる。そして一番LTVが高い価格を採用する、ということが出来ると良いですね。
商品数を増やす
単純に商品数を増やせば、LTVは上がります。
Appleも任天堂も、売上を伸ばす会社というのは業界業種問わず、新商品を作り続けています。
なので新商品を作って、商品数を増やしていくのが理想です。
1商品あたりの販売回数を増やす
たとえば1つの商品を1回しかセールスしない場合よりも、2回も3回もセールスした方が購入される可能性が高いです。
何度も販売することで購入率を上げられますし、結果的にLTVが上がります。
継続(リピート)率を上げる/解約率・離脱率を下げる
継続商品の場合、継続率を上げることでLTVが高くなります。
継続率を上げるには、以下のようなやり方があります。
- 購入金額に応じたランク付けをする…例)楽天の「会員ランク」
- 継続回数に応じてプレゼントを用意する…例)アプリやゲームの「ログインボーナス」、ディアゴスティーニの「毎月の特典」
- 初回時に、継続した後の理想の姿を見せる…例)ダイエット商品であれば、痩せた自分をイメージさせる
- 初回時に、相手にコミットメントさせる…例)同じくダイエット商品であれば「私は〇ヶ月後に〇kg痩せる!」と宣言させる
- 美容室やネイルサロン等であれば、来店時に次回の予約を取る
- 直接会う機会を設ける(懇親会、相談会、セミナーなど)
ちなみに僕は過去、FX(外国為替投資)の継続商品を販売したことがあります。その際、継続率を上げるためにやったことは以下の2つ。
- 初回購入時に、続けることでFXがうまく行くイメージを伝える
- 次回予告を伝える(次はどんなメリットが得られるのかを伝える)
もちろん商品の質も影響しますが、継続率はだいたい80%くらいでした。
コストを下げる
コストを下げることで利益率が上がって、LTVを上げることが出来ます。
例えば、以下のようなコストの下げ方がありますね。
- 人的リソースを減らす(or外注化する)
- 広告費を最適化する(成果が出ていない広告を止める)
- ツールの導入で作業の効率化を図る(ただし導入費とのバランスを見る)
- 改善してもLTVが低いままの商品の販売を停止する
LTVの本来の考え方
LTVってどうしても「一人の顧客からどれだけお金を落としてもらうか」って捉えられがちだと感じているのですが、いやいや、僕はそうじゃないと考えています。
そうではなくて、「自分が一人の顧客にどれだけの価値を提供できているか」と捉えるのが重要、というのが僕の考えです。
前者だと、どうしても「奪う」感覚になってしまう。過去勤めていた企業で経験しましたが、「何でもいいから売って売って売りまくれ!」みたいな感じになってしまうんですよね。
でも、商売の本質ってそうじゃないはずです。顧客のためになる物を売って、価値を提供する。与える感覚が大事ですよね。
LTVを上げることは確かにビジネスにおいて重要です。事業存続は経営者の重要な仕事ですし。
ただ、何でもかんでもテキトーな商品を売りつけてLTVを上げる、というのは商売の本質からズレているんじゃないかなと感じるんですよね。
そんな販売者は嫌いだし、そうはなりたくないなあと。
押し付けるつもりはないのですが、奪う感覚ではなくて、顧客にどれだけ価値を提供できているかという視点でLTVについて考えて欲しいなと思います。
以上、LTVについてお伝えしました。
とにかくビジネスにおいて数字を把握するのは重要です。
LTVは特に(というか必須レベルで)把握しておきたい数字なので、もしLTVを計算したことがないのであれば、あなたのビジネスを振り返ってLTVを算出してみて下さい。
それではお読みいただきありがとうございました。